抽象的な方がわかりやすい/「ユリ熊嵐」

 「少女革命ウテナ」とか「廻るピングドラム」とかよりもファンタジー色が強く、その分抽象度も高め。でも不思議なことに、そっちのほうがなんか妙に話を理解しやすいような感じがする(これは映画版ウテナを見たときにも感じた)。12話で終わりなのも、普通の人が話を理解できる限界の中にちゃんといる感じがしてよい。あとまあ、熊のキャラデザがすごく好き。妙に可愛いのですごく感情移入できてしまう。

 

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FEファンのためのメガテン入門/「幻影異聞録♯FE」

幻影異聞録♯FE - Wii U

幻影異聞録♯FE - Wii U

 

 人間には①FEファンかつメガテンファン、②FEファンだがメガテンファンではない、③メガテンファンだがFEファンではない、④FEファンでもメガテンファンでもない、の4種類がいるが、このゲームは間違いなく①②の人のためのゲームだろう。物語終盤にがっつりFEの話が絡んでくるため、FEを知らないと雰囲気でしか話がわからないと思う。また、各章のボスもFEの敵キャラのため、誰コイツとなりそう。そしてなにより、このゲームをやったFEファンでない人が、これをきっかけに「FEおもしろそうだからやってみよう」とはまずならなさそうなのが惜しいところ。

ただしその点(と、いろいろな部分でテンポが悪いところ)を除けば、とても完成度の高いJRPGであることは間違いない。特に面白いのは戦闘システムで、連続攻撃に必殺技ととにかく派手な戦闘が楽しめる。かといってそれが難易度をヌルくしているわけではなく、むしろゲームシステムをある程度理解してようやくまともに各ボスと戦えるというのもすばらしい。また、システム上パーティーにいないメンバーも戦闘に参加できるため、「絆が世界を救う!」みたいなストーリーと実際のゲームとの乖離が少ないという良さもある。

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どういう層を狙ったのかさっぱりわからない、イノセントな邪悪さ/伊原大貴『恋するワンピース(1)』

恋するワンピース 1 (ジャンプコミックス)

恋するワンピース 1 (ジャンプコミックス)

 

 アメトークのワンピース芸人の回とかを思い浮かべればわかりやすいんだけど、ワンピースファンってどことなくイノセントというか、まあそういう感じの雰囲気があるじゃないですか。ぼくはワンピースはなんだかんだで今も読み続けるくらい好きなんだけど、そのイノセントな感じにちょっと抵抗があって、あんまりファンだとは言っていなかった。

で、『恋するワンピース』である。このマンガのすごいところはイノセントな邪悪さ。ワンピースの名言をパロディするのと同じテンションで気軽に放火したりするところが本当に邪悪で倫理観に欠けていて、腹を抱えて笑いました。パロディが有名なものから異様にコアなものまであるのもポイント高い(蟹手のジャイロって誰だよ)。

しかしこれ、どういう層にウケると思ったのかだけはさっぱりわからない。いやまあぼくみたいに邪悪な人間はこういうマンガ好きだと思うけど、そういう人ってあんまワンピース読んでるイメージないし。それとも編集部的にはこれが純粋なワンピースファンにウケると思ったんだろうか……。

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どんどん仲間が死んでいく/「DIGITAL DEVIL SAGA アバタール・チューナー2」

ATLUS BEST COLLECTION DIGITAL DEVIL SAGA ~アバタール・チューナー2~

ATLUS BEST COLLECTION DIGITAL DEVIL SAGA ~アバタール・チューナー2~

 

 ゲーム自体の完成度は前作に引き続きとても高い。前作の良い部分を全面的に受け継いだ上で、それを邪魔しない追加要素もちょこちょこあり、古いゲームのくせにわりと快適。ストーリーもそこそこ意外性があり、ちゃんと1の未消化な部分を消化してくれる。

ただすごく気になったのが、パーティからキャラクターが離脱することがかなり多いこと。単純に好きなキャラが(一時的とはいえ)使えなくなるのは寂しいし、控えキャラのスキルが十分育っていないせいで攻略に苦労するという問題もある。まあハードな世界観だからといわれてしまえば納得するしかないですが……。

 

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