面白かった本(2019/5)

5月に読んで面白かった本のまとめ。

 

五代ゆう『クォンタムデビルサーガ アバタールチューナー(1~5)』(ハヤカワ文庫JA、2011年)
クォンタムデビルサーガ アバタールチューナー? (ハヤカワ文庫JA)

クォンタムデビルサーガ アバタールチューナー? (ハヤカワ文庫JA)

 

 「DIGITAL DEVIL SAGA アバタール・チューナー」の原案小説。詳細はここここここ

 

舞城王太郎『みんな元気。』(新潮文庫、2007年)
みんな元気。 (新潮文庫)

みんな元気。 (新潮文庫)

 

 舞城のなかでもかなり不条理度高めな短編集。

 

矢部嵩保健室登校』(角川ホラー文庫、2009年)
保健室登校 (角川ホラー文庫)

保健室登校 (角川ホラー文庫)

 

 矢部嵩の短編集……なんだが、『魔女の子供はやってこない』とか『〔少女庭国〕』を書いた人と同一人物とは思えないくらい話のレベルが低い。「平日」がかろうじて面白みがあるくらい。ただ文体の魅力だけはそのままなので読めはする。

 

小飼弾ほか『Web開発の基礎徹底攻略』(技術評論社、2013年)
Web開発の基礎徹底攻略 (WEB+DB PRESS plus)

Web開発の基礎徹底攻略 (WEB+DB PRESS plus)

 

 プログラミングの基礎を抑えたい人がWeb開発をしたい/する必要があるときに最初に読む本、という感じ。

 

クリストファー・プリースト『魔法』(ハヤカワ文庫FT、2005年)
魔法 (ハヤカワ文庫FT)

魔法 (ハヤカワ文庫FT)

 

 や、ややこしい……。けっこうおもしろいテーマではあるんだけど、オチがよくあるメタフィクションであるのと、前半がかなーり地味なのが残念。

 

坂井豊貴『暗号通貨vs.国家』(SB新書、2019年)
暗号通貨VS.国家 ビットコインは終わらない (SB新書)

暗号通貨VS.国家 ビットコインは終わらない (SB新書)

 

 暗号通貨の思想的な背景がわかっておもしろい。一方、ブロックチェーンなどの仕組みを数字を使わないで解説しようとしている部分は、結局あまりわかりやすくなっていないところがつらい。ちゃんと数式読めってことですね。

 

石黒達昌『平成3年5月2日,後天性免疫不全症候群にて急逝された明寺伸彦博士,並びに,【完全版】』(アドレナライズ、2018年)

 斎藤美奈子『日本の同時代小説』で表題作の存在を知り、興味が出たので読んでみた。圧倒的なリアリティを持つフェイクドキュメンタリー小説です。ただ、4作収録されているうち、2作がもう2作の改稿なのは、初心者に優しくないかも。

 

山下博司『古代インドの思想』(ちくま新書、2014年)
古代インドの思想: 自然・文明・宗教 (ちくま新書)

古代インドの思想: 自然・文明・宗教 (ちくま新書)

 

 古代インドの思想についての本のはずなんだが、半分くらいをインドの自然環境の説明に割き、自然環境と思想との関わりを考察している。若干環境決定論気味ではあるが、それでもおもしろいものはおもしろい。

 

里見直「That's catch 22(前・後)」(『デジタル・デビル・サーガ アバタール・チューナー ザ・マスターガイド(1・2)』メディアワークス、2004年)

 アバチュの外伝小説だが、主に現実サーフの人間性に重きをおいた感じ。ミステリーとしては悪くないかも。

 

五代ゆう「DOGDAYS」(『ファンタジアバトルロイヤル』2004年11月増刊号、富士見書房

 こちらも外伝小説(厳密には、『クォンタムデビルサーガ』の外伝)。まあ大した内容ではない。

 

 グレッグ・イーガン『祈りの海』(ハヤカワ文庫SF、2000年)
祈りの海 (ハヤカワ文庫SF)

祈りの海 (ハヤカワ文庫SF)

 

 なんか全体的に地味なんだよなー。強いていえば表題作「祈りの海」と「繭」が好み。 

 

大樹連司『勇者と探偵のゲーム』(一迅社文庫、2009年)
勇者と探偵のゲーム (一迅社文庫)
 

 おーおー。セカイ系批判とかに対する真っ向勝負。 

 

アドルフォ・ビオイ=カサーレス『パウリーナの思い出に』(国書刊行会、2013年)
パウリーナの思い出に (短篇小説の快楽)

パウリーナの思い出に (短篇小説の快楽)

 

 なんか全体的にしょぼい。ボルヘス『モレルの発明』「語り手が出来事を省略したり歪曲することで数々の矛盾が生じる。平凡であれ荒唐であれ、ほんのわずかな読者だけしか、事実を読み解く事ができないとしたらどうか」と評したけど、この短編集の作品はそういう発想とは真逆だと思った。 

 

冲方丁ほか『ゼロ年代SF傑作選』(ハヤカワ文庫JA、2010年)

 良くも悪くもゼロ年代のSFを集約したアンソロジーになっていると思う。詳細はここ。 

 

一柳凪『みすてぃっく・あい』(ガガガ文庫、2007年)
みすてぃっく・あい(ガガガ文庫 い 3-1)

みすてぃっく・あい(ガガガ文庫 い 3-1)

 

 ある種のミステリーとしてけっこう面白い。でもこれSF要素不要じゃね? 

 

米澤穂信米澤穂信古典部』(KADOKAWA、2017年)
米澤穂信と古典部

米澤穂信と古典部

 

 いろいろなインタビューとか詰まってるのでファンアイテムとしてはまあまあ。ただ、古い文章も多いのに初出が書いてないのがつらい。書き下ろし短編も微妙。