バランスのとれた理想的なFE/「ファイアーエムブレム 新・紋章の謎」

ファイアーエムブレム 新・紋章の謎 ~光と影の英雄~

ファイアーエムブレム 新・紋章の謎 ~光と影の英雄~

 

 ほどよいバランスでとてもおもしろかったと思う。難易度はそこそこという感じだけど、カジュアルモードがあるので比較的ストレス少なく楽しめる。ストーリーも、かなーり王道であった「暗黒竜と光の剣」からは一転して、かつての味方が敵軍にいたりしてわりと面白い。

重大な欠点としては、キャラクターが多い割に、全体的にマップに参加できるキャラクター数が少なく、しかもマイユニットの存在がただでさえ少ないキャラクター数をさらに圧迫しているところかなあ。あとは、「暗黒竜」と同一のマップが多く、それだけでなくコンセプトもあまり変わっていないマップが多く、新鮮味が若干足りないところとか。

 

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面白くないのになぜかやってしまう不思議なゲーム/「Euro Truck Simulator 2」

面白いゲーム、というわけではない。単にトラックを運転して荷物を運ぶだけのゲームで、名前の通りシミュレーターに近い。テンポも悪いし。一応申し訳程度のゲーム要素として経営シミュレーションもできるけど、本当に申し訳要素だし。

でもなぜか、気づいたらプレイして、そのまま30分くらい続けちゃうんだよね。単純に運転する快感を味わえるゲームなのかなあと思う。クセになる感覚はマインスイーパーに近いかもしれない(まったく別ゲーだけど)。

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粒ぞろいの中国SFアンソロジー/ケン・リュウ編『折りたたみ北京』

折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ 5036)

折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ 5036)

 

 中国SFって噂には聞くんだけどまったく翻訳がされない分野なので、こういう本が出ること自体がけっこうありがたい。ただ、比較的若手の作家の短編を集めたアンソロジーということなので、粒ぞろいではあるがきれいにまとまった小品ばかり、という問題もある。あと、編者や訳者たちがこれらの小説の普遍性をやたらと主張するのは、言い訳がましさを強く感じる。

そんな中でぶっちぎりに良かったのが劉慈欣「円」。「スケールのデカさ」も中国っぽさの1つだというのを完全に見落としてたので、意外さと納得感を同時に味わえた。『三体』の一部を切り出して短編化したものということで、本編への期待も高まるばかり。夏笳「童童の夏」も、新しい労働の形を見せてくれる、比較的後味の良いラストでわりと好き。

 

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味方ユニットを計画的に殺していく珍しいゲーム/「ファイアーエムブレム 新・暗黒竜と光の剣」

 このゲームのFEとしての最大の特徴はおそらく、味方ユニットをロストしていると、特定の条件で別の仲間が味方に加入することだろう。FEでは伝統的に、ロストを極力回避するようなプレイスタイルが推奨されているだけに、このシステムは相当珍しいものだろう。そういう理由もあってか、このゲームはFEファンからけっこう評判が悪いらしい。

……ただ、つい最近FEをはじめたぼくみたいな人間からすると、上記の欠点はむしろ、ちょっとした魅力にも感じられる。ちゃんと期限内にユニットを減らし、なおかつ通常の攻略に支障をきたさないようにするというのは、 他のFEとはまた違った計画性が求められるので新鮮。

 

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というか円城塔ってこんなに長編少なかったのね/円城塔『エピローグ』

エピローグ (ハヤカワ文庫JA)

エピローグ (ハヤカワ文庫JA)

 

 この壮大な一冊を読んで、真っ先に思い出したのは円城塔のデビュー作『Self-Reference ENGINE』だ。あれも相当な巨編だったが、こちらも負けず劣らずの作品で、仮想の宇宙を舞台に無茶苦茶なSF的戦闘とバカミス一歩手前のミステリーが繰り広げられる。

 ただし、円城の長編にありがちな欠点として、その壮大さが必ずしも作品の面白さと単純に相関はしてないという問題はある。話題と話の長さが大きくなっていくにつれて、どこらへんに円城は主眼をおいているのかもだんだんわからなくなっていく。もちろん円城はわざとわかりにくい作品を書くというタイプの(安易な)作家ではないので、5~6回ぐらい読めばどういう話なのかある程度はわかってくると思うが、申し訳ないけどそこまでの時間はとれません。そういう意味でぼくは、どちらかというと「良い夜を持っている」とか「Boy's Surface」みたいなキレッキレの短編のほうが好きではある。

……と思いながらwikipediaとかを見ていて気づいたんだけど、円城塔って全然長編小説書いていないのね。ほかには『Self-Reference ENGINE』『屍者の帝国』『プロローグ』の3つだけ(しかも一つは共作だし)。そう考えると、『エピローグ』はわりと貴重な「円城塔の長編」なのかもしれない。

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いろいろと大雑把/「ファイアーエムブレム 覚醒」

 全体的に大雑把な印象が否めない。特に気になったのはクラスチェンジの自由度がやたらと高いところ。そしてスキルがクラスと紐付いており、そのスキルも優秀なものとそうでないものの差が激しいため、強いキャラを目指そうとするとどうしてもキャラクターが似たり寄ったりになってしまう。ドラクエ6の転職システムが「自由度が高すぎて逆にダメになっている」という評価を受けることがあるけど、それに近いと思う。

あとストーリーも雑な印象。一番気になっているのは、子世代のキャラクターたちがどのように時間移動をしたのかまったくわからないところ。DLCでわかるようになってるのかもしれないけど、いやさすがにそこは本編でやるべきでしょう。物語の核になっている部分を平気で説明しないのはちょっとびっくりした。