こんなばかSFにまじになっちゃってどうするの/三島由紀夫『美しい星』
おもしろーい。信頼できない語り手というか、信頼できない作者というか。自分は宇宙人だと断言する胡散臭い家族がまあまあでかい騒動を起こすドタバタコメディ寄りの話として読むのが素直だと思う。暁子を妊娠させた後に失踪した竹宮について重一郎がウソをついたり、重一郎の癌について一雄や暁子がウソをつくといったエピソードも、たぶん大杉家が宇宙人だというのはウソだという部分に対応している。
核兵器だの近代文明批判だのはけっこうマジで言っている部分もあるとは思うんだけど、その一方でそういう主張が大杉一家やさらに胡散臭い万年助教授とかによって語られることで、いい塩梅に相対化されている。絶妙なバランスで成立しているバカSF(全部妄想でしたーをSFといえるかは微妙だが)です。また、そういう軽いノリのおかげでかなり読みやすくもあるのもいいところ。
続きを読む加藤シゲアキにしか書けないゲデモノ小説/加藤シゲアキ『チュベローズで待ってる』
読んだマンガ(2022/7)
7月に読んだマンガのまとめ。
続きを読む読んだ本(2022/7)
7月に読んだ本のまとめ。
続きを読む料理の理屈を理解する/五藤隆介『チューブ生姜適量ではなくて1cmがいい人の理系の料理』
サンプルだけ読んで、料理初心者のためにやたらとバカ丁寧に具体的なレシピが書いてあるだけの本かと勘違いしていたんですが、あらためて読んでみたら思ったよりもよい本だった。ひとつひとつの用語の定義を明確にしてくれるので、曖昧さがない。また、料理の工程や調味料の役割、食材の保存方法などを物理的あるいは化学的に平易に説明しており、料理の理屈が理解できるようになっている。ちょっと内容的に薄すぎるきらいはあるし、レシピが1つしか載っていないのは難点ですが、そこはググれカスっていうことで。