面白かった本(2016/12)
12月読んで面白かった本のまとめ。
ミノワ『ガリレオ』(文庫クセジュ)
ガリレオが科学に殉死した悲劇の科学者なんてものではない、というのは既に知っていたけど、科学エバンジェリストとか情の薄い男とか盲目な反アリストテレス主義者だとか、そういう側面はあまり気づいてなかった。かなり意外性のある伝記です。
ウィット『誰が音楽をタダにした?』(早川書房)
誰が音楽をタダにした? 巨大産業をぶっ潰した男たち (早川書房)
- 作者: スティーヴンウィット
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2016/09/30
- メディア: Kindle版
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違法アップロードの歴史をたどった貴重なドキュメンタリー。詳しくはここ。
松戸清裕『ソ連史』(ちくま新書)
ロシア革命〜ソ連崩壊についての簡潔なまとめで、そこまで驚くような記述はない。が、「共産主義体制においては、環境保護のために罰金刑を設けても、金銭的インセンティブが弱いからあまり効かない」という話は目から鱗だった。共産主義国家における環境問題の実態の包括的な研究ってないのかな。
野崎まど『2』(メディアワークス文庫)
変な小説だけど傑作。ここ。
さやわか『僕たちのゲーム史』(星海社新書)
ゲームの思想についての個別の論考がかなり鋭い。ここ。
井上智洋『人工知能と経済の未来』(文春新書)
人工知能の話についてはそんなに目新しい話はないと思うし、「2030年に」雇用が崩壊するとか「9割」の人間が仕事なくなるとか、具体的な数値については信憑性に欠ける。だがその一方で、ここで示されているような未来像は、いつ来るかはまったくわからないけれどもそれなりに妥当な未来像だと思うし、その対応策としてのベーシック・インカムというのも面白い。