最低限はミステリーしてると思う/西尾維新「戯言シリーズ」
ミステリーじゃない! という評判が多いシリーズではあるが、最終巻を除いて、最低限の核はちゃんとミステリーになっていると思う。ミステリーのお約束がほとんどない巻も多いので、かなりわかりづらいけれども。ラノベ的なストーリー展開と文章は、全体的なリーダビリティを上げているとは思うが、前置きがやたらと長いのはちょっと勘弁してほしいなーって感じ。あと、投げっぱなしの伏線は、「人間シリーズ」「最強シリーズ」で回収されるんでしょうか……。
個別の感想でいうと、「クビシメロマンチスト」が抜きん出て面白い。2つの全く関係ない連続殺人事件を1つの話にまとめる暴力的な強引さと、アンフェアスレスレなミステリーとしての攻めっぷりがとても魅力的。あとは、「クビキリサイクル」「サイコロジカル」は、それぞれ孤島モノ・館モノミステリーとして、ラノベテイストでいい感じにまとまっていると思う。
逆にちょっと厳しいなあと思ったのは「ヒトクイマジカル」。ミステリーの根幹が「クビキリサイクル」「サイコロジカル」と同じようなネタなので、3回目になると流石に飽きる。全体的な冗長さも問題。
- 作者:西尾 維新
- 発売日: 2011/09/08
- メディア: 文庫