皆が求めていたのはプラチナリメイクであって、ダイパリメイクではない/「ポケットモンスター ブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール」

結局のところ、最大の問題点はこのリメイクがダイパをベースに作られているということ部分にあるんだと思う。ダイパ→プラチナの変更点はほぼほぼイコール改善点なのだから、その違いの分だけプラチナから劣化したとも言ってしまってもよいだろう。「原作に忠実なリメイクを」という声を字面通りに受け取って大失敗、という感じか(さらに言うと、完全に原作に忠実なわけでもない)。リメイク最高傑作との声も大きいHGSSが、金銀をベースにしつつもクリスタルの要素をしっかり取り入れ、さらに当時の感覚に適応できるように様々な点をブラッシュアップさせていたのとは対称的である。

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バズらせた早川の努力に感謝/劉慈欣『三体Ⅲ』

基本的な感想は、『Ⅱ』を読み終わったときとそこまで大きくは変わらず、まあまあおもしろかった。『Ⅲ』下巻の終盤はバカSF色がかなり強く、バカバカしさに思わず笑ってしまう。また、暗黒領域計画などの理屈が非常によく、あらためてアイデア部分の新鮮さを感じた。よくよく思い返してみれば、面壁計画や黒暗森林理論などもアイデアとして秀逸だったなあ。あと個人的な好みではあるが、随所に挿入される作中作『時の外の過去』からの抜粋も、今話題の異常論文感があってよかった。

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伴名練編『日本SFの臨界点 新城カズマ』解説に『魔界探偵 冥王星O』についての記述がない

伴名練編のアンソロジーシリーズ『日本SFの臨界点』シリーズは、単純なアンソロジーとしての面白さもさることながら、とんでもなく分厚い解説にも定評がある。例えば新城カズマ編であれば、巻末解説はなんと60ページ。こんなに解説が分厚い本なんて、他には中編100ページぐらいの古典を解説で水増しするような場面でしか見たことない。もちろん『日本SFの臨界点』シリーズはどれも300~400ページぐらいはあるため、そんなくだらない水増しとかではない。大変すばらしいと思います。

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木下古栗『人間界の諸相』特設ページに掲載されていたエッセイについての調査メモ

save-as.hatenablog.com
前々からちょこちょこ木下古栗全作品リストを更新しているのだけれど、先日コメントにてこんな情報提供をいただいた。

で、ここからはだいぶあやふやな情報になってしまうのですが…
『人間界の諸相』は紙面と同時に「小説すばる」の公式サイト内に開設された特設ページでも連載を同時進行していたのですが、そこには本編となる連作掌編の他にエッセイが二本掲載されたことがありました。
一本は木下氏が好きなミュージシャンとその音楽について書いた内容だったんですが、これに関してはタイトルもミュージシャンの名前も失念してしまいました…。
もう一本は「フーッ!」というタイトル(表記に若干の誤りがあるかもしれません)で、渋谷の街で「選挙フェス」に遭遇した際の憤りをストレートに書いた内容でした。
残念ながら特設ページは現在削除されてしまっているので確認が取れません。

『人間界の諸相』は特設ページにてWeb連載も行っていたのだけれども、その他にエッセイを何本か掲載していたとのこと。ただ、特設ページの削除に伴い、現在は確認ができない。

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